2008年12月8日、東京都港区にある株式会社コトブキDIセンターで、当研究会主催の「第4回学生による屋上利用提案競技」公開審査会が開催されました。

公開審査風景
公開審査風景

早いもので、この競技会も4回目を迎え、年々素晴らしい作品が応募されてきている。

今回は「あなたのアイデアで快適都市づくり!」と題し、都市における建物の屋上や人工地盤上の未利用空間を積極的に利用するための有効な活用方法や自然再生的な都市の景観形成などのアイデアと提言を募集した。

今回の応募作品を見てみると、単純に緑に特化しがちな傾向を脱し、生活空間の一部として屋上を利活用しようとする提案が多かったと感じられた。

最優秀賞に選ばれた「屋上移動コンテナー」は老人介護の実体験から発想されたアイデアで、プレゼンテーションも素晴らしく、審査委員全員の賛同を得た。優秀賞を受賞した「WOOD WOOD WOOD」「Plants Communication」の2作品は、発想、アイデアが秀逸ですぐに実現させたい作品であった。惜しくも入選となった「Roof Top Dam」「一つのオケと自分のニワ」「R R」の3作品も力作であったが、プレゼンテーションの良し悪しが大きく影響したと思われる。
全体を通じて感じられたことは、プレゼンテーションの仕方に工夫が見られなかった事である。
前回の講評でも述べたが、学生諸君が将来社会人になった時、人前で発表する機会は確実に多くなるはずである。限られた時間内で、訴えたいことを、明確にかつ簡潔に述べる工夫をすることは、逆に言うと、聞いてくれる人の時間を無駄にしないということに繋がっている。
何度も繰り返したいのは、プレゼンテーションの良し悪しは、準備の良し悪しと密接に繋がっており、その意味で、この学生コンペにプレゼンテーションを導入したことは大変意味のあることだと再認識した次第である。

都市のヒートアイランド現象の緩和策を具体的に、かつ早急に実施し、都市環境を改善することは、建築や緑に関係する人に課せられた大きな課題である。
屋上は屋根と違い建築上の重要な部分であるという認識のもと、当研究会が追求する「屋上空間の有効利用」というキーワードと「学生による屋上利用提案競技」が密接につながり、新しいアイデアが実際の都市環境改善に結びつくことを期待している。

提案競技の概要

最優秀賞:屋上移動コンテナー
写真 西 麻衣子さん
町田ひろ子アカデミー東京校
ガーデニングプランナー科
今回提案した「屋上移動コンテナ」が最終審査に残り、最優秀賞まで頂き大変嬉しく思っています。
「屋上から発進される移動コンテナが、病院や高齢者福祉施設に入院、入所している方々の楽しみや生きがいに繋がるものになるといい」という思いで作品にしました。
このアイデアが本当に実現し、一人でも多くの笑顔が増えたら素適だなと思います。
作品1作品2
老人介護施設での実体験から出た発想はとても力強く、迫力があり、とても素晴らしいプレゼンテーションであった。絵だけを見ていると汲み取れない部分が明確になり、当コンペの「プレゼンを聞いてから最終決定する。」という主旨が活かされた作品である。
審査委員全員が実際にやってみたいと思う内容であった。
優秀賞:WOOD  WOOD  WOOD
写真 岩田政喜さん、廣松知紗さん、栗田法正さん、稲田剛兵さん、大澤陽介さん、榎本直哉さん
日本工学院専門学校
テクノロジーカレッジ 建築設計科
第4回屋上緑化コンペティションでは、グループ作品という形で進めていきディスカッションを重ね、1人1人の意見がぶつかり合う中で、放置されつつある間伐材を利用した屋上ウッドデッキ計画案に決まりました。 この作品を通して、自然を大切にすることの重要性を訴えることが出来たのではないかと思っています。優秀賞を受賞することができ、苦労の甲斐があったと素直に喜んでいます。ありがとうございました。
作品1作品2
間伐材を使用するというアイデアは新鮮で、間伐材の利活用を通じて、広く自然の大切さを認識させるという着眼点は高く評価できる。
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優秀賞:Plants  Communication
写真 杉村淳子さん
町田ひろ子アカデミー東京校
ガーデニングプランナー科
この度は優秀賞に選んで頂きありがとうございました。プレゼンで、自分の案を発表する機会を与えて下さったことに誠に感謝しております。公開プレゼンテーションでは、審査員の方々から直にご意見を頂き、大変貴重な経験をさせて頂きました。今後は、案が実践出来るよう努力したいと思います。有り難うございました。
作品1作品2
名刺代わりに植物を交換し、育てていくというアイデアは面白い。種から芽を出し、成長した植物を、ある時点で別の場所に移植し、そこで出来た種をまたコミュニケーションツールとして使っていくという循環する考えは評価できる。
入賞:Roof Top Dam
写真 中村美沙都さん
兵庫県立淡路景観園芸学校
景観園芸専門課程
近年、頻発している「都市型豪雨(ゲリラ豪雨)」の被害防止のために屋上緑化を使えないかと考えたのがきっかけです。生まれ育った北海道が持っている潜在的な防災機能を見出すことができたのではないかと思います。審査委員の方々の評価を励みに、卒業研究として完成させたいと思っております。公開審査という貴重な経験をさせていただき、とても感謝しております。ありがとうございました。
作品1作品2
過去の学生コンペで「都市型洪水抑制」について正面から取り上げたケースは初めてである。札幌市における積雪荷重や雨量を綿密に調査した上での提案は秀逸であった。是非発展させて欲しい。但し、植物の選定が非現実的であったのが残念であった。
入賞:一つのオケと自分のニワ
写真 山崎慎二さん
大阪工業大学大学院
建築学専攻
今まで取り込んできた提案や思いを直接、伝える機会を与えていただいた事に感謝しています。日頃、プレゼンテーションをする機会が少ない事もあり、反省点が多々有りましたが、これからにいかす事の出来る大変貴重な経験ができました。親切にして下さった事務局の方々をはじめ、このコンペの関係者の方々に改めて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
作品1作品2
他の作品は大掛かりだが、これはすぐに出来る。
色々な対応(水を入れたり、人が集まったり。)が可能でメルヘンチックな点が良かった。
入賞:R R
写真 米村知倫さん
熊本大学大学院
自然科学研究科 建築学専攻
ぼくにとって、屋上とは特別な存在です。家の屋上に秘密基地をつくったり、知らない屋上に不法潜入したり…なんというか単純に屋上が好きなんです。しかし、今回のプレゼンではその思いをうまく伝えることができず、悔しい思いをしました。これを機会に、「屋上とは何か」を念頭に、様々な視点から屋上の魅力・可能性をもっともっと考え続けていきたいです。この場をかりて、コンペに関わったすべての方々に感謝いたします。
作品1作品2
この学生コンペはある意味アイデアコンペなので、屋上利用の多様性を表現したことは評価できるが、プレゼンが単調で、訴えたい点が不明確になったのが惜しまれる。

※ 応募作品の著作権は応募者に帰属し、発表に関する権利を主催者(NPO法人屋上開発研究会)が保有しています。応募者並びに主催者に無断で、作品ならびにアイデアを転用することを禁止いたします。

公開審査会レポート

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