屋上利用提案競技 全体講評
審査委員長/
輿水 肇(明治大学農学部教授、元造園学会会長)


この競技会も今年で3回目となった。審査を担当する者としてこの競技会を毎回楽しみにしている。

今回は「あなたのアイデアで快適な街づくり!」と題し、ヒートアイランド現象緩和策に関するアイデアを募集することとなった。

協賛企業サイト アースコンシャス(株)

(株)イーエス・ウォターネット

田島緑化株式会社

東邦レオ株式会社

株式会社プラネット

地球温暖化問題が大きな話題になってきた現状を踏まえ、学生諸君がこの問題をどのように捉えているのかを聞いてみたいとして、テーマを@空間利用A技術提言B政策提言の3つに拡げ、理系・文系双方からの提案を期待した。しかしながらテーマそのものの範囲が広く、かえって的を絞りきれず、結果的に難しくなってしまったようで、応募数はほぼ前回レベルにとどまった。

しかしながら応募してきた作品はどれもレベルが高く、特に最終審査に残った5作品はどれも素晴しい内容であった。最優秀賞となった「Special Meal For Children」はビジュアルの部分が良く整理されており、またキチンとしたプレゼンが出来ていたため審査委員全員の賛同を得た。優秀賞の「東京「水源地」化計画」「緑化NAVI」共に実現可能性および実現期待値が大きいとして高い評価を得た。佳作になった「企業が変われば街が変わる」「空中こども園」も夢のある素晴しいアイデアが評価された。この競技会は第2回目以降、単純な提案競技ではなく、最終的に提案者がその作品について自らプレゼンテーションを行い、その内容をより詳しく解説する方法をとることとした。学生諸君が将来社会人になったとき、人前で発表する機会は確実に多くなる。プレゼンの良し悪しは準備の良し悪しと密接につながっており、その意味で学生諸君にとっては良い発表の機会になっていると思う。

地球環境問題が取り沙汰される昨今、都市化によって失われた地面、緑地、水面をどのように取り戻し、都市環境をいかに回復させるかは喫緊の課題である。当研究会が追求する「屋上空間の有効利用」というキーワードと「学生のための屋上利用提案競技」がコラボレートし、新しいアイデアが実際の都市環境改善に結びつくことを切に期待している。
受賞作品の内容と審査講評
受賞者 Special Meal For Children
受賞者 村尾直美さん/加藤美歩さん
武庫川女子大学 生活環境学部 生活環境学科4年


この度は最優秀賞に選んでいただき、ありがとうございます。プレゼンで自分たちの思いを伝える機会を与えていただいたことにまず感謝しております。また、そのプレゼンで審査員の方々の意見や、ほかの提案者の案を聞くことができ、とても刺激になりました。学校ではできない貴重な体験だったと思います。事務局の方々をはじめ、このコンペを作り上げている全ての方々にあらためて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
受賞者の作品1
作品1
受賞者の作品2
作品2
★審査員講評
大阪市街地の小学校の屋上を菜園に転用し、食の安全と環境教育をつなげた点が高く評価できる。学校の屋上で展開することに意味があり、完成度は高い。プレゼンも論旨がしっかりしており、各資料の出典も明確で大変素晴しい提案となっている。
受賞者 東京「水源地」化計画
受賞者 河西きよのさん
町田ひろ子アカデミー東京校 ガーデニングプランナー科


自然と自分をわけないという日本人の感性を再現出来たらと、天の恵みの雨をビルでうけとめて潤った都市空間をイメージしました。この発表をするために調べた川や下水のこと。快適な都市の裏側には課題がたくさんありました。この賞を励みに、微力ながらガーデンプランナーとして緑の力で役立つことを提案、実践していきたいです。
受賞者の作品1
作品1
受賞者の作品2
作品2
★審査員講評
ビルの屋上から雨水を取り込み、階高を利用することでビルの四隅をフィルターにして水を濾過し、貯水するというアイデア。屋上緑化とビル自体に保水能力を持たせるというもの。企業努力をあおる発想で、斬新なアイデアが評価されたが、実際の降雨量は均一ではないため、その点をどのように克服するかのアイデアがあればさらに素晴しい提案となったものと思われる。
受賞者 緑化NAVI
受賞者 矢藤昭憲さん
町田ひろ子アカデミー東京校 ガーデニングプランナー科


私は、緑化資金を集める方法を提案させて頂きました。ビジネスとして成立する可能性のある提案を模索するなかで、重要なことは、「より多くの人に緑化という行為をわかりやすく伝えられるか」であるとの思いがありました。そこで、インターネットをツールとして、「緑化ナビ」という緑化形態別の検索サイトを提案しました。
受賞者の作品1
作品1
受賞者の作品2
作品2
★審査員講評
インターネットをツールとした緑化形態別の検索サイトの提案。1クリックで緑化資金が課金されるシステム。すぐ実現できそうなシステム提案であったが、具体的にアクセスと課金の結びつけ方に検討の余地があるとして惜しくも次点になった。IT時代という現在の社会背景を踏まえた、今日的な提案であった。
受賞者 空中こども園
受賞者 是洞洋子さん
京都造形芸術大学 通信教育部 デザイン科3年


日頃から気になっている都市部の保育園・幼稚園不足の問題と屋上緑化を併せて提案する機会をいただき感謝いたします。今回生まれて初めての公開プレゼンテーションでしたので反省点が多々有りますが、大変貴重な経験になりました。改めて御礼申し上げます。有難うございました。
受賞者の作品1
作品1
受賞者の作品2
作品2
★審査員講評
屋上を緑溢れる託児所として展開するアイデア。都市部の保育園・幼稚園不足および児童教育の問題と環境を結びつけた点が評価された。実現可能性についての仕掛け作りなどもう一歩突っ込んだ検討が期待される。
受賞者 企業が変われば街が変わる
受賞者 牧田直子さん
町田ひろ子アカデミー東京校 ガーデニングプランナー科


夏の渋谷で、あまりの暑さと人ごみに圧倒されて、ふと見上げると看板が乱立していて「この看板や屋上が緑に変われば涼しくなるのに。」「ヒートアイランド対策には緑化看板が必要。企業が変われば街が変わる。」と考えました。素直な気持ちから考えたものが取上げられ、入賞までできてとても嬉しく思っています。看板を緑化し、ヒートアイランド対策。そして新たな日本特有の風景になることを望みます。企業の方が変われるような提案を、我々緑にかかわる者たちが提案できると良いと思います。ご指導いただいた先生方にはとても感謝しております。有難うございました
受賞者の作品1
作品1
受賞者の作品2
作品2
★審査員講評
都市の環境改善には企業の積極的な取り組みが必要で、都市部に氾濫する広告看板を緑化することで都市環境を変えようという提案。企業の広告看板を単純に緑化するだけではいまひとつ説得力に欠けるという意見が大勢を占めたが、企業への啓発効果という点で評価が高かった。

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公開審査会レポート
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